高齢者は環境調整能力や代謝が低下しているため、室内温度管理が非常に重要だ。しかし、寒さに対する感じ方は、健康な介護職員と高齢者との間では異なるため、介護職員の体感を指標にすると管理が難しい。それでは、一体どのくらいの温度が適切なのだろうか。

室内は、夏場であれば24~28度、冬場であれば20~22度の温度設定が目安となる。しかしこれには個人差もあるため、実際には部屋を利用する高齢者と相談した上で温度を決めていくことが必要だ。適切な温度設定が行われないと、夏では冷やしすぎによる冷房病、冬では相対湿度の低下によるインフルエンザの蔓延などが懸念される。

加えて、風の当たり方にも考慮する必要がある。直接的に風を受けると、体温が急激に低下したり皮膚呼吸が疎かになったり、脱水症状が表れたりする可能性がある。温度調整の際、エアコンの風向きを一定にせずに向きをかえたり、高齢者のベットの位置をエアコンから離して直接風が当たらないように配慮したりすることが望ましい。

また、なるべく正確に温度を測るため、温度系の設置を推奨する。設置する場所は、直接日光が当たらないところを選ぶようにしよう。他には、冷房の風が当たらない場所や加湿器から遠い場所にすることも大切だ。床から高さ1.1メートルの位置に置くと、より正確に温度を計測できる。また壁紙やクロスでなく柱面に設置することで、結露による数値変化を防ぐことができる。このように、温度管理にはこまめな気遣いが必要になる。重要なのは、高齢者を中心に考え、介護される本人の意見を聞きながらの調節を意識することである。