介護職として働く場合には、仕事内容について十分に理解することが大切である。とりわけ重要な仕事として、施設の温度管理が挙げられる。その理由は、高齢者は体温調節の機能が衰える傾向があるからだ。「暑い」「寒い」といった感覚が鈍くなっていくことから、高齢者は熱中症や低体温症を引き起こしやすい傾向にある。

感覚が衰えていると、高齢者本人からの訴えも当然ながら少なくなる。高齢者が何も言わないからといって、適温が保たれているとはいえないのだ。高齢者の肌が冷たくなっていたり、エアコンの風が直接当たっていたりする場合は、訴えの有無に関わらず適温ではない可能性を考える必要がある。その際は温度や風向きを調整してみることが大切だ。高齢者から室温を調整してほしいという訴えがあった場合、介護職員が適温だと思っても高齢者にとって適温ではないということなので調整は必須である。

老人福祉施設など、高齢者が利用する施設には、さまざまな部屋が用意されている。高齢者が食事や余興などを楽しむ大部屋の他に、高齢者用の個室が設けられている。個室の温度管理を行うことは、介護職員にとって重要な仕事内容である。なぜなら、高齢者自身では個室の温度調節ができないケースが多いためだ。高齢者に代わって、介護職員が室内の気温を念入りに確認する必要がある。

就寝中に気温が高くなると、脱水症状を起こす危険が高まるため注意が必要である。個室で休んでいる高齢者がいる場合には、定期的に見回りを行って室内の温度や湿度を確認しよう。高齢者の状態を観察して、水分補給が必要かどうかの判断も忘れてはならない。こういったきめ細かい観察や配慮の徹底が、介護の仕事をする上で欠かせないことなのだ。